そのファクタリング契約書、サインする前に3分だけ待ってほしい。
俺は橘。
かつてノンバンクで「回収の鬼」と呼ばれ、嫌というほどカネの裏側を見てきた。
今は中小企業の資金繰りを助ける側にいるが、昔の経験から断言できることがある。
「審査通過率99%」――その言葉は、あなたを救うためのものではない。
それは、あなたを絶望の淵に突き落とす「カモ探し」の合図だ。
この記事では、かつて“追い込む側”にいた俺だからこそ語れる、彼らの本当の狙いと巧妙な手口をすべて明かす。
これは単なる解説記事ではない。
あなたの会社を、そしてあなたの未来を守るための「作戦会議」だ。
俺と一緒に、この戦いにケリをつけよう。
目次
なぜ「審査通過率99%」は“救済”ではなく“罠”なのか
【巷のウソ】誰でも通る、最後のセーフティーネットという幻想
銀行に何度も頭を下げ、追加融資を断られた。
税金の支払いも迫っている。
従業員の給料だけは、絶対に遅らせるわけにはいかない。
そんな時、「赤字でもOK」「最短即日入金」「審査通過率99%」という言葉が目に飛び込んでくる。
まるで、暗闇に差し込んだ一筋の光のように見えるだろう。
その気持ちは、痛いほどわかる。
誰にも相談できず、一人で資金繰りのプレッシャーに耐えている経営者の心に、その言葉は甘く響くものだ。
だが、思い出してほしい。
ビジネスの世界に、そんなうまい話が転がっているだろうか。
彼らは慈善事業家じゃない。
その甘い言葉の裏には、必ず狙いがある。
【業界のホント】彼らにとって“審査”は無意味。欲しいのはあなたの「売掛債権」だけ
なぜ、彼らは「審査が甘い」のか。
答えは単純だ。
彼らは、あなたの会社の将来性や返済能力を一切“審査”していないからだ。
彼らが見ているのは、たった一つ。
あなたの会社が持っている「売掛債権」、つまり、あなたの取引先から入金される予定のお金だ。
そして、その取引先の信用力さえ高ければ、それでいい。
極端な話、あなたの会社が明日倒産しようが関係ない。
「あの優良企業からの入金が確実にある」という事実さえあれば、彼らはその債権を買い叩き、法外な手数料を抜いてあなたに金を渡す。
彼らにとってのリスクは、あなたの会社ではなく、あなたの取引先が支払うかどうかだけ。
だから審査が甘いのは当たり前なのだ。
あれは“審査”ではなく、単なる“獲物の品定め”に過ぎない。
元・回収の鬼が明かす「カモ」を仕留める悪徳業者の手口
俺がいた業界には、追い詰められた人間をさらに追い込むための「手口」がいくつもあった。
ファクタリングを装った悪徳業者も、全く同じやり方であなたを罠にはめようとする。
手口1:契約書に隠された「償還請求権(ノンリコースではない)」という地雷
契約書に「償還請求権あり(ウィズリコース)」という小さな文字が書かれていたら、その瞬間に契約書を破り捨てていい。
これは、絶対に越えてはならない一線だ。
専門用語で煙に巻こうとするが、要するに、こうだ。
「もし取引先が倒産して売掛金が回収できなかったら、その損害はあんたが全部被れ」ということ。
これは、もはやファクタリング(債権の売買)ではない。
あなたの売掛債権を担保にした、ただの「借金」だ。
しかも、貸金業の登録もしていないヤミ金が、ファクタリングを装って違法な貸付を行っているのと同じ構造だ。
本当のファクタリングは、売掛金が回収できないリスクごと買い取ってもらう「償還請求権なし(ノンリコース)」が原則だということを、肝に銘じてほしい。
手口2:見積もり後に膨れ上がる「不明瞭な手数料」
最初は「手数料10%」などと、もっともらしい数字を見せてくる。
だが、いざ契約の段になると、「債権譲渡登記費用」「調査費用」「事務手数料」といった名目で、次から次へと費用を上乗せしてくるのが常套手段だ。
「今日中に契約しないと、この条件は出せませんよ」
彼らはそう言ってあなたを急かし、冷静に考える時間を与えない。
焦りの中でサインした契約書の内容は、気づけば手数料が20%、30%と膨れ上がっている。
これは、俺のかつての同僚たちが使っていた、典型的な心理的テクニックだ。
手口3:「金銭消費貸借契約」へのすり替え
最も悪質なのが、この手口だ。
ファクタリングの契約だと思ってサインした書類が、実は「金銭消費貸借契約書」になっているケースがある。
これは、完全に「借金」の契約だ。
一度サインしてしまえば、あなたは法外な利息を払い続けることになる。
契約書のタイトルを必ず確認しろ。
「債権譲渡契約書」以外の書類が出てきたら、それは100%詐欺だと思っていい。
あなたは大丈夫か?奴らに狙われやすい経営者の共通点
悪徳業者は、誰でもいいから狙うわけじゃない。
彼らが最も好み、そして最も簡単に仕留められる経営者には、いくつかの共通点がある。
「誰にも相談できない」という孤独が判断を鈍らせる
資金繰りの悩みは、従業員にはもちろん、家族にさえ打ち明けられないことが多い。
その孤独が、経営者を追い詰める。
「もう、この方法しかないんだ」
そう思い込んでしまうと、正常な判断力は失われ、目の前の甘い言葉に飛びついてしまう。
俺も独立当初、正論ばかりをクライアントにぶつけて失敗したことがある。
会社は理屈だけでは動かない。
泥臭い現実と、経営者の孤独に寄り添うことの大切さを痛感した。
だからこそ言える。
一人で抱え込むな。
その孤独こそが、奴らにとって最高の“餌”なのだ。
専門用語への苦手意識と情報不足
「ファクタリング」「ノンリコース」「債権譲渡登記」…
横文字や専門用語が出てきた瞬間に、思考が停止してしまう経営者は少なくない。
「よくわからないが、プロが言うなら間違いないだろう」
その思考停止こそが、命取りになる。
「知らなかった」では、会社は守れない。
この記事を読んでいるあなたは、もう情報不足ではないはずだ。
知識という武器を手に、冷静に相手を見極めてほしい。
【明日からすぐ使え】元プロが教える安全な業者を見抜く実践チェックリスト
ここからは、より具体的な「戦闘マニュアル」だ。
怪しいと感じたら、このチェックリストを一つずつ確認してほしい。
契約前の確認事項5箇条
- 契約書に「償還請求権なし(ノンリコース)」とハッキリ書かれているか?
- 契約書のタイトルは「債権譲渡契約書」になっているか?
- 手数料の内訳(登記費用、事務手数料など)は、すべて書面で明確に提示されているか?
- 法外な手数料(2社間で20%を超えるなど)を提示されていないか?
- 契約を異常に急かされていないか?
この5つのうち、一つでも「NO」があれば、その業者との取引は即刻中止すべきだ。
担当者にこの一言をぶつけてみろ
交渉の場で、こう質問してみてほしい。
「失礼ですが、御社の顧問弁護士はどなたですか?」
まともな金融取引をしている会社なら、必ず法務の専門家がついている。
この質問に答えを濁したり、不機嫌になったりするようなら、その業者は“黒”だと判断していい。
後ろめたいことがないなら、堂々と答えられるはずだからだ。
会社の登記情報と固定電話の有無は必ず確認する
最後に、最も初歩的だが重要な調査だ。
その会社のホームページに、本社の住所と固定電話の番号がきちんと記載されているか確認しろ。
レンタルオフィスや携帯電話の番号しか載せていない業者は、いつでも逃げられる準備をしている可能性が高い。
さらに、国税庁の「法人番号公表サイト」などで、その会社が本当に登記されているかを確認するんだ。
実体のない幽霊会社に、あなたの大切な会社を食い物にされてたまるか。
よくある質問(FAQ)
Q: 審査が全くないファクタリングは安全ですか?
A: 断言しよう、100%危険だ。
審査がないということは、彼らがあなたの会社の状況を一切考慮せず、法外な手数料を取ることしか考えていない証拠だ。
「審査なし」は「情け容赦なし」の同義語だと心得てほしい。
Q: 手数料の相場はどのくらいですか?
A: 巷では2社間で8~18%、3社間で2~9%などと言われているが、数字だけに囚われるな。
大事なのは、なぜその手数料になるのか、内訳を明確に説明できるかどうかだ。
俺から言わせれば、相場より「説明責任を果たせるか」の方がよほど重要な判断基準だ。
Q: もし悪徳業者と契約してしまったら、どこに相談すればいいですか?
A: 一人で抱え込むな。
すぐに弁護士、特にファクタリング問題に詳しい専門家に相談すべきだ。
金融庁や日本貸金業協会の相談窓口もある。
かつての俺のような連中を相手にするには、法律という武器が必要になる。
戦友として、まずは専門家という仲間を探してくれ。
Q: 契約書で最も注意すべき点は何ですか?
A: 「償還請求権」の有無、これに尽きる。
この一文があるだけで、それはファクタリングではなく、あんたが個人保証を背負う「借金」に化ける。
契約書は小さい文字で書かれているが、会社の命運がかかっていると思って隅々まで読んでくれ。
Q: 取引先に知られずに資金調達したいのですが…
A: その気持ちは痛いほどわかる。
だから多くの経営者が手数料の高い「2社間ファクタリング」を選ぶ。
だが、その弱みにつけ込んでくるのが悪徳業者だ。
取引先に知られないメリットと、法外な手数料を支払うデメリットを天秤にかけ、冷静に判断する必要がある。
信頼できる専門家とその判断を共有すべきだ。
まとめ
ここまで読んでくれたあんたは、もう「カモ」じゃない。
悪徳業者の手口を知り、それを見抜く武器を手に入れた「戦友」だ。
資金繰りの苦しみは、経験した者にしかわからない孤独な戦いだ。
かつて俺は、その苦しみに喘ぐ人を数字としてしか見れず、一つの会社を潰してしまった。
だからこそ、もう二度と「情報がない」という理由だけで、真面目な経営者が涙を飲む姿を見たくない。
数字の裏には、あんたや従業員の生活がある。
その顔を、未来を、守り抜いてほしい。
諦めるのは、すべての手を尽くしてからでいい。
あんたは、一人じゃない。